歌舞伎を見ていたら、
「竹や〜、竹や〜」と声を張り上げながら竹を売る人が出てきた。
その姿を見て、ふと思いました。
――あれが、竿竹屋さんの原点なんじゃないかと。
声を張り上げて、生きていた商売
昔の商売は、声が命だった。
魚屋も、豆腐屋も、金魚屋も。
みんな、声を出して知らせる。
「竹や〜」と声を響かせながら、
町を歩いて竹を売る。
生活の匂いと、人の声が混ざりあった時代。
きっとその竹が、やがて竿竹になっていったのだと思う。
竹からアルミへ、時代は変わっても
うちの仕事は、いまやアルミの物干し竿。
でも、元をたどれば“竹”から始まっている。
竹を切って、磨いて、干して、売る。
それを一本一本、生活の道具にしていく。
時代が変わっても、やっていることの根っこは同じだ。
人の暮らしを支えるために、
長くて丈夫な竿を作る。
声を出さなくなった時代に
今はもう、「竹や〜」の声は聞こえない。
竿竹屋さんの声も、ほとんど聞こえなくなった。
でも、あの声はたぶん、
暮らしの中で“必要なもの”を知らせる合図だったんだと思う。
いまはネットで、
声の代わりにページをつくって知らせている。
やっていることは違っても、
「必要な人に、ちゃんと届くように」という気持ちは同じです。
竹のようにしなやかに
竹や〜、竹や〜。
その声が、遠い昔の日本を思い出させてくれる。
まっすぐで、しなやかで、折れにくい。
竹のような気持ちで、
うちもものづくりを続けていきたいと思う。

